初めて
KICK ASSを読んだ時激しくフラッシュバックしたのがコミック版の
ゼブラーマンだったりします。
哀川翔が演じた劇場版は宇宙人が相手ですが、漫画版はそうじゃあない。
主人公はいい歳したおっさんで小学校の教師。
担当学級は既に学級崩壊を起こし、息子はイジメに遭い、娘は自分とタメ位のおっさんと援交まがいの交際、奥さんは浮気。家族皆に蔑まれ、昔大好きだった打ち切り特撮ヒーロー、ゼブラーマンに逃避する。
それでも「俺はまだマシな方だ」と自分より不幸な人間を探す事でなんとかかんとか自分を保ってるダメな大人が主人公。
自作のゼブラーマンスーツに身を包み、それを「ちょっとこれ着て外に出てみたい」という、日常に刺激が欲しいという理由でジュースを買いに出てしまい、そこでゼブラーマンの怪人のコスプレをした犯罪者と遭遇してしまう。
コスプレ怪人達が起こす凶悪な事件の数々と、背後で糸を引いている黒幕の存在。
スーパーパワーも財力も持ち合わせず、あるのは中年も過ぎて衰退を開始した体力&腕力と、ネットで知り合った友人位。
いまや事件はTVの中ではなく目の前で起こり、TVの前ではないからこそ被害者と加害者の顔と人生が見えてしまう。事件はより生々しいリアリティを帯びていく。
果たして彼は町を守れるのか、なくしてしまった家族の絆を取り戻せるのか。ヒーローとして生きるっていうのはどういう事なのか。
KICK ASSのように少年ではなく、大人だからこその痛々しさと自分を誤魔化す台詞や崩壊する家族の生々しさ。個人ではなく家族を描いてるウェットな感じがより日本的と言えるんじゃあないかな。
「コンプレックスいっぱいの無能なヒーロー」という特異なモチーフを日米でどんなふうに扱ったのか?(いや、別に国の話じゃなくて作家個人の話だとは思うけどね)興味があったらあわせて見てみるのも楽しいんじゃないでしょか。